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2015年3月1日 | カテゴリ:ブログ , 催眠療法の事例

ある催眠療法の事例

こんばんは、心理療法家の玉田まゆ子です。
如月最後の夜、週末の夜、しっとりJAZZを聴きながら
岐阜県高山市のプライベートオフィスでブログを書いています。
タイトルもそのまま、シンプルに。
「ある催眠療法の事例」です。
 
セラピストには守秘義務があるため、
総数に対してご紹介できる事例はとても少ないのが現状です。
今回は催眠療法の授業中に行われたあるセッションの様子を
クライエント役の先生が語ってくださったものを
ご本人の許可を得てご紹介いたします。
 
私は2006年大阪で催眠療法士(ヒプノセラピスト)の資格を取得しました。
授業はマンツーマンで行われ、実習がメインでトレーニングを積みます。
実習では先生がクライエント役をすることもしばしばあります。
 
その先生は私の副担任してくださった方です。
おおらかで愛情の深い笑顔のさわやかな
なおかつしっかりと地に足の着いた「現場の先生」という印象の方でした。
 
では、催眠療法の不思議で力強い世界を感じてみてください。
 
すごろく
 
前世療法の授業
私がクライアント役の日だった
 
前世療法は自分の前世を感じ再体験する事で、
今世での自分の生きる目的や役割を知るというセッション
 
ただヒプノセラピー(催眠療法)では出た前世が本当にあったかどうかは、
さして問題ではないのね
 
もし裏のとれる前世が出たら…本が書けちゃうよねぇ~印税ガッポリ(笑 )
 
まぁ仮に知らない前世がでてきて、それが裏がとれるくらいすごかったにしたって、
立証はできないもんである
 
 
話は戻るけど…生徒さんの誘導でいつものごとく催眠に入っていく
 
でも催眠に入ってても意識はしっかりあるので
後でアドバイスできるよう確認しながら受けてたりする
 
夜の授業で一日の疲れが開放されるので気持ちいい
 
「あなたのもぅ終わった過去の人生へ戻ります 10,9,8…」
 
さぁ今日はどんな前世に行くのかなぁ
ここまでは呑気な私だった
 
次の瞬間
 
見た事あるようなないような風景が浮かんできた
そこには知ってるような知らないような女の人がいた
 
あれこれって…
 
頭が混乱し始めた
落ち着け落ち着け
 
でも突き進むしかなかった
 
あ~っ
 
つづく(笑)
 
すみませんそんな引っ張るほどでもないのに怒らんとってね
 
浮かんだイメージはすごく田舎…大きな縁側のある平屋の家
庭でニワトリを追いかけるおさげの女学生
 
なぁんか見た事あるなぁ…そぅ思ってた
 
時間を進める
 
スナックのような場所…水商売に馴染めずレコードをかける係や裏方をする女性
この仕事は向いてないなぁと感じている…でも田舎には帰る場所がない
 
継母の嫌がらせからやっと逃げ出して大阪に来たのだから
 
えっ
これってお母さんだ
どーなってるの
 
これは震災で亡くなった実母の若い時だ…
 
私は母の人生をたどっている
 
こんな事ってあるんだろうか…
 
混乱してる自分と冷静になろうとしてる自分
落ち着け今は授業中だ
 
生徒さんはまだ気付いてない…まさか私が母の人生をたどってるとは
 
どーなるの私
大丈夫なの生徒さん
 
テキスト通りにいかない事は百も承知だか…これはやっぱり戸惑うだろうな
 
頭はぐるぐる回る中 セッションは続く…
 
 
催眠状態の時
 
意識はなさそうに思いがちだけど、実はそうではない
 
顕在意識はしっかりしてるのだ
だからものすごく冷静な自分がいる
 
私のみてるのは私の前世ではなく私の母の人生
 
なぜ?理解できない
 
生徒さんによってテキスト通りに時間が進められる
 
今の私と同じ頃の母
夫(私の父)と食事をしている
 
実家だ…震災でつぶれてしまった実家
コタツの定位置で会話もなく食事をしている
 
夫はいい人だが無口だ…つまらない
娘(私)は結婚して孫が一人 近くに住んでいる
もうひとりの娘(妹)は銀行に勤めてて まだ帰らない
 
日常 これが日常だ
 
ここで仕方なく生徒さんに言う
「あのね…娘って私の事やねん」
「えっ」
「銀行勤めは妹、夫は父で…私は母の人生を感じてるみたい」
「…」
 
そりゃそうだ前世でないからテキスト通りこれから先 死ぬ直前には進めれないだろう
 
焦りつつ時間を進めた
 
真っ暗だ
遠くでかすかに色んな音や声が聞こえていく
あぁ死ぬんだなぁ…そう感じている
 
そして上から見てる
下には娘(私)が呆然と潰れた家の前で崩れてる
「お父さん助けたって」
伝えようにも伝わらない
 
私が真っ暗だとしか言ってないので生徒さんは悩んだ揚句…
気持ちのいい場所に誘導してくれた
その瞬間、私はものすごく深い呼吸をひとつした
 
そしてツラツラと話しだしたようだ
 
「私は家族にさよならも言えていません、ありがとうの言葉も伝えていません。
家族が私の死を自分のせいだと苦しむ事が辛いです…」
 
自分の口から自分の言葉じゃない事がつらつらと出てきた
止めれないそして涙で顔はぐしゃぐしゃだ恥ずかしい
 
「あなた達が思う程、苦しい死ではなかった」
「もっと生きていたかった」
「老いた母の事が気掛かり」
「姉ちゃんと久美ちゃんの事いつも見てるよ」
 
結局 言いたい事を伝えていった母
 
 
セッションが終わってから私も生徒さんもしばらく呆然としていた
 
なんでこうなったのかわからない
 
母がおりてきたのかどうかもわからない
 
きっと自分の人生を否定したくないんだろうなぁ
大変な人生だったけど幸せだったんだ 認めたかったんだな、きっと
 
その感情をたっぷり味わった
 
 
潜在意識は何を仕出かすかわからない
でも今の私が必要だから感じてるんだと思う
ほんとに不思議な体験
 
本が書けるようなすごい前世でなくてごめんなさい
 
墓参り行かなくっちゃな…そう思いながら帰った
 
ちゃんちゃんおわりです(笑)
 
生徒さんごめんね
最後までよく頑張りました

 
すごろく
 
 
「ある催眠療法の事例」をご紹介しました。
どんな風に感じられましたでしょうか?
 
私にとっては非常に印象的で影響力のある事例です。
生きて死ぬということはどういうことなのか?
旅立つ気持ちとはどういうものなのか?
見送る気持ちとはとういうものなのか?
死生観を深く考えさせる事例だと感じました。

 
私たちは幸せを体験するために生まれてきました。
 
もちろん、色んなことがうまく行かなかったり、
痛みや悲しみを感じることも多々あります。
 
しかし必要なタイミングで必要な学びを得ています。
 
私が催眠療法をしていて実感するのは、
「人間の素晴らしさ」と「叡智の素晴らしさ」です。
 
私たちは幸せになりたいと思っていて、
自分だけではなく周囲の人の幸せも願っています。
そして、私たち一人ひとりに自分で自分の人生を切り拓いていく、
幸せになるという力が備わっています。
 
そんなことを実感できて、いつも感動してしまいます。
 
今回、実体験を紹介させていただくことを快諾してくださった先生に
心からの感謝の気持ちをおくります。
ありがとうございます。
これからも先生のお幸せをお祈りしています。
 
私も楽しく魂をみがいています。
いつも学びを与えてくださってありがとうございます。